国際復興開発銀行(IBRD)が資金の大半を世界の金融市場で調達するのに対し、IDAの資金は主に加盟国の政府から拠出されています。この拠出にIBRDと国際金融公社(IFC)の収入の移転、および過去のIDAクレジットへの借入国の返済金が加わります。
ドナー国は3年ごとに会合を開き、IDA増資について協議するとともに、政策枠組みを見直します。IDA借入国の喫緊の開発ニーズを満たすために、今回の増資(IDA第20次増資)は1年前倒しで行われました。交渉は2021年12月に妥結し、2022~2025年度を対象期間としたIDA借入国のための930億ドルの資金パッケージについて合意に至りました。この資金パッケージはIDAの61年の歴史において最大規模となります。
今なお続く感染症の世界的流行により、貧困が深刻化し、経済成長が阻害され、強靱で包括的な開発の展望が脅かされています。各国は、歳入の減少、債務の脆弱性の高まり、脆弱性・紛争・不安定リスクの上昇、識字率の低下にも苦しんでいます。IDA適格国の約3分の1には、食料危機が迫っています。
各国が環境へ配慮した回復を実現できるための支援として、資金の相当額が、気候変動の影響への適応や生物多様性保全を中心とした気候変動対策に提供されます。IDAはまた、感染症の世界的流行、金融危機、自然災害などの将来の危機への備えを強化するための各国への支援を拡大します。IDA20は、世界中の対象国を支援しますが、中でもアフリカへの支援を拡充しており、資金全体の約70%が充てられます。
IDA20プログラムには、教育、保健・栄養、ワクチン、セーフティネット、障害者支援などの人的資本分野への各国の優先投資を支援するという積極的な政策コミットメントが含まれています。IDAはまた、ジェンダー格差、雇用創出や、サヘル、チャド湖、アフリカの角といった地域における、脆弱性・紛争・暴力といった他の主要な開発課題への対応にもこれまで以上に積極的に取り組んでいきます。さらに、ガバナンス、組織・制度、債務の持続可能性、デジタル・インフラ整備といった分野への支援に引き続き重点的に取り組むことで、包摂的な経済と社会の実現を支援します。